事業ごとに「解決する社会課題」を掲げる会社
株式会社ヒゴケンの会社概要を読むと、事業紹介のそれぞれに「解決する社会課題」という項目が添えられている点に気づく。調剤薬局には船員の健康安全問題と地域社会資源の不足、居宅介護支援には地域社会資源の不足、福祉用具貸与には病院の病床数削減による在宅療養問題、まごころサポートには介護難民、老人ホーム運営支援には介護・管理職人材の不足——。事業を「何をやるか」ではなく「どの課題に応えるか」で並べているところに、この会社の物の見方が出ている。
神戸市兵庫区塚本通を拠点に2013年から積み上げてきた事業は、いずれも高齢化と医療・介護の構造変化から生まれる問題に紐づいている。個々の事業所は別々に動いているが、根にある問題意識は一つにつながっている。
病床削減と在宅シフトを前提にした事業設計
福祉用具貸与事業が掲げる「病院の病床数削減による在宅療養問題」は、この会社の事業設計を読み解く鍵になる。入院で受け止められていた療養が自宅へ移れば、家での暮らしを支える道具、薬、介護計画、人手が要る。株式会社ヒゴケンはその一つずつを、福祉用具事業所、西部調剤薬局、西部ケアプランセンター、まごころサポートという別々の事業所で用意してきた。在宅へ流れが移るという前提を先に置き、それに必要な部品を並べていったような組み立てだ。
人材と地域資源の不足という共通の下地
六つの事業のうち複数が、地域社会資源の不足や人材不足を課題に挙げている。老人ホーム運営支援が施設長やレセプト請求の経験者を派遣するのも、介護と管理職の人材が足りないという現実への応答だ。正直、一社でここまで異なる社会課題に手を広げている例は珍しいと感じた。株式会社ヒゴケンは、代表・川井洋一のもと、JR兵庫駅から徒歩約3分の拠点で、地域の課題を事業の形にして応えようとしている会社だといえる。

